今年は大学のセンター試験が共通試験に名前を変えて、思考力を問う問題が増えたり、国立大学の中でもコロナの影響を受けて2次試験を中止するところが出るなど、日本の入試に大きな変革がありました。
アメリカではついに大学入試で長年使われてきたSATのSubjectテストと、エッセイの部分が廃止されることが発表されました。
これによってどのような変化が出るのか紹介していきたいと思います。
SATとは
SATは非営利法人であるカレッジボードが主催する標準テスト。SAT Reasoning TestとSAT Subjectテストで構成されている
SAT Reasoning Test
ライティング、英語、数学の3つで構成されます。それぞれ800満点で、合計2400点満点です。
・英語:長文5題(52問65分)+文法(44問35分)
・数学:電卓×(20問、25分)+電卓○(38問、55分)
・エッセイ:論理的な文章(50分)
SAT Subject Test
英語、歴史、言語、数学、科学の5つの大きな分野から成る20種類のSubject testから選択可能
SATのSubject testとは、特定の科目に関する大学入学試験のことです。このテストは、自分自身で得意な科目を選ぶことができます。
多くの大学ではSATの試験のスコアとともにSubject testsの中から2科目選んでそのテストのスコアの提出を求めできました。
なぜ廃止になったか
機会均等でないというのが一番大きな要因のようです。
裕福な家庭
⇒受験対策にお金をかけられる、何度も受験可能
貧困層
⇒身丈にあった受験回数
↓
正確に学力を測れない
テスト自体は4000円程度なのですが、低所得層やマイノリティーの学生にとって受験料が高いといわれているようです。
また、都会はSAT用の塾や教材が多く売られているのも事実です。
アメリカは多様性がある
⇒平等を求める声が多い
現時点でも標準化テストの提出を必要としない大学は全体の大学の40%に上るといわれています。
何が評価されるのか
①学校の成績
②課外活動
③人間性
学校の成績
サブジェクトテストが廃止されたことによって、大学に提出する筆記試験のSATのスコアは英語と数学だけになりました。

他の科目はどのように学力を図るの?
数学と英語以外の科目では学校の成績やAPコース(大学の単位が取れる難易度が高いクラス)の成績で学力を評価するそうです。
課外活動
課外活動はアメリカ人はとても力をいれています。シーズンスポーツ制で、一年を通して色々なスポーツをしている人が多いです。
その他にもスポーツをしながら音楽のオーケストラをしていたり、ボランティア活動を義務化されていたり、日本人のように学校と部活と塾の往復ではありません。


人間性
先生や親、クラブチームのコーチから推薦状を書いてもらいます。
自分が書くエッセイでは学校内外の活動や実績、自分の育った環境や人格などを折りまぜながら自分を表現する必要があり、多くの人が苦労して書いていました。
公平な判断ができるのか
公平性には少し問題があると思います。
問題点
・先生によって成績のつけ方が違う
・学校によって生徒の能力差がある
・田舎にAPコースはほぼない
先生によって成績のつけ方が甘い人、厳しい人がいるし、宿題や小テストが占める成績の割合に明確な基準がないので、学校や先生によって生徒の成績は左右されてしまいます。

実際に人気の先生は、テストを満点換算してくれる人や、発言でボーナスポイントをあげるなど甘い人だったよ。
またAPのコースを取るとGPAを上げることが出来ます。アメリカの科目のGPAはA+で最高の4がもらえて、それらの平均が成績になりますが、APコースではAを取ると4.25などといった4よりも高いGPAがもらえます。
APコースを開講させるには
⇒教えられる先生と受講する生徒が必要
↓
学校の規模によって不平等が生じる
私が留学していたような田舎の学校では先生が不足していることと、そもそも大学に行く人の割合が都会に比べて高くないので、限られた数のAPコースしかありませんでした。
それに比べて都会だと田舎の5倍くらいのAPクラス、そしてAP Japaneseのようなレアなものまで開かれています。そのため、不利有利は必ず生じてきてしまうと考えられます。
日本も見習うべきか
学力テストを完全に廃止するのには反対ですが、日本も見習うべき点はあると思います。
日本の大学の受験料は3万円ほどして、裕福な家庭であっても全て払うととても高くなります。
また地域によって塾のないところ、塾に通うお金のない人がいるので、機会均等ではないと思います。
そして、国立大学も私立大学も全て1日の点数だけで全てを判断して、推薦入試以外はその人がどのようなことをしてきたかを全く無視しています。
実際に、私が今の大学に入ったことも自分が留学した経験は全く合否に関係ありませんでした。
日本も少しずつ入試改革をして、課外活動や学校の成績なども考慮するべきではないでしょうか。
まとめ
今回はアメリカの共通テストの廃止について紹介していきました。学力のテストを撤廃することにはいろいろな意見があると思います。
世界中でパンデミックとなっている中、どのような大学入試変革が行われているのかはとても興味深かったです。
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